新型出生前診断(NIPT)を日赤医療センターで受けた
出産時点で38歳になるわたくし。高齢出産の場合、染色体異常の確率が高いため、遺伝カウンセリングと出生前診断を受けることにしました。
<38歳の場合の染色体異常確率>
21トリソミー 1/190
18トリソミー 1/1923
13トリソミー 1/4482
一番確率の高い21トリソミーっていうのはダウン症のことですね。わかっちゃいたけど落ち込む数字だ。。。がーん。
出生前診断はいつから受けられる?
日赤の場合は12週から15週2日の間に出生前相談外来を受けることができます。完全予約制で水曜日、木曜日の午後と決まっているためすぐに予約が埋まってしまうとのこと。
病院サイトや病院内の張り紙で告知を見つけることはできますが、担当の医師や助産師から「出生前相談受けて!」とは勧められませんでした。出生前診断を受けて陽性だった親が堕胎を希望する確率は96%。医師や助産師の立場からすると、生まれる前に命の選別をするということ自体、気が進まないのかもしれないなーと思いました。
出生前相談では専門の医師から遺伝カウンセリング(30分)を受ける必要があり、パートナー同席必須となっています。うちの場合夫が忙しく、水木に抜けられる時間と病院の空き時間を調整するのにわりと苦労しました。15週までに受けないといけないというリミットもあったので、多少焦り気味で予約。
いざ遺伝カウンセリングへ
我が家の場合、染色体異常のほかにもたーくさん心配ごとがあり、一緒に相談しました。
どれも遺伝の可能性を否定できない病気なので、子に遺伝する確率を知りたかったんですよね。自分の発達障害や多汗についても、染色体異常に比べれば大したことない病気かもしれないけど、思春期は悩んで死にたいと思っていたし辛い病気です。
医師からは精神疾患と多汗症については出生前に判別できないです、という回答。網膜色素変性症について我が家の家系図で同じ病気の人がいないかといったことをヒアリングされ、劣勢遺伝の確率が25%、突然変異が47%という説明をされました。結局このへんは生まれてみないとわからないので、博打みたいなもんですね。
お医者さんが持っていた病気ごとの遺伝の可能性を示した分厚い辞典があり、この本は面白そうだなーと思いました。
日赤で受けられる出生前診断
クアトロテスト
- 対象疾患:ダウン症(21トリソミー)、18トリソミー、開放性神経管奇形
- 検査方法:母体血液採取で4つの成分を測定
- 推奨時期:15週から17週。21週6日まで検査は可能だけど、クアトロテストで陽性が出た場合に羊水検査を受ける場合があるため、17週ごろまでが望ましい
- 所要日数:10日
- 検査精度:低い
- 検査費用:3〜4万円
偽陽性(本当は疾患じゃないのに陽性と出てしまう)確率が99.8%、偽陰性(陰性と出たけど本当は疾患あり)確率が高いという説明を受け、夫婦で「ハァー!?」と思いました。無駄に心配になるだけならこのテストには意味がないので、早々に却下。
羊水検査
お腹にブスっと針を刺して羊水を採取する検査で、0.3%の割合で流産する確率があります。0.3%って低いように思うけど、300人に一人という言い方に変えるとなんだか多いように感じるんですよね。私の場合、子宮筋腫が大きいので流産の可能性が通常よりも高くなるという説明もされました。もし胎児が健康だったのに流産することになったら、一生後悔で立ち上がれないなーと思ったので、NIPTを受けて陽性だったら受けようと思いました。
NIPT(新型出生前診断)
「母体血中cell-free DNAを用いた無侵襲的出生前遺伝学的検査」というらしい。長いのでNIPTと略します。
- 対象疾患:ダウン症(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミー
- 検査方法:母体血液採取で血漿に入っている胎盤由来の浮遊DNAを分析
- 検査精度:高い。陰性の場合の染色体疾患確率は0.1%以下、陽性の場合の確率は80〜95%
- 検査費用:23万円
- 所要日数:2週間
2013年4月に開始されたばかりの新型検査。いまのところ臨床研究段階の検査のため、研究参加の同意書を書きます。日本では遺伝カウンセリングの提供が可能な施設のみということで、検査を受け付けている病院が限られているみたいです。採取した母体の血液はアメリカの検査会社に送って検査するとのこと。
23万円は痛いけど、検査精度が高いこと、流産のデメリットがないことから、「NIPT受けます!」と即決。「じゃ、下の採血室で採血してきてくださいね〜」と言われ、その日のうちに20ml血液を採取しました。採った血の量も少ないし、驚くほどあっけなく終わったので、拍子抜け。
NIPTでわかる病気
ダウン症候群(21トリソミー)
- 21番目の染色体が通常2本のところ3本ある
- 知的発達、運動能力に遅れが生じる
- 先天性心疾患など心臓や内臓の病気を合併する確率が高い
- つり上がった目など身体に特徴が出る
ダウン症候群は他の疾患と比べると成人している方も多いので、街中でも見かけますね。いまダウン症のお子さんを育ててる方には申し訳ないのですが、「自分の子がダウン症だったらどうしよう」「療育通うために仕事やめなきゃ」とかグルグル考えました。
18トリソミー
- 18番目の染色体が通常2本あるところ3本ある
- 90%に先天性の心臓病がある
- 運動面、知的発達に重度の遅れ
- 出生1ヶ月で約半数が亡くなる、1年後の生存率は10%
13トリソミー
- 13番目の染色体が通常2本のところ3本ある
- 先天的な内臓疾患を合併
- 1年後の生存率は10%
結果は2週間後
「もし陽性だったらどうしよう」と毎日ハゲそうなほど悩み、QAサイトやらブログでその手のページを開いては閉じ、開いては閉じ、を繰り返す日々。
そんな中、無神経な上司が同僚に私の妊娠をしゃべっていたことがわかり、もし堕胎することになったらどうすんだよー!と怒りが爆発しましたね。出生前診断を受けるつもりならば、結果出るまで職場の誰にも伝えないほうが良いなと思いました。
結果説明は1人でもいいですよと言われたのですが、もし陽性だったら1人で耐え切れないので夫にもついてきてもらうことに。私たちの前にもご夫婦が来ており、笑顔で出てきたので「あの人たちは陰性だったのかな。いいなー」と羨ましく思いました。緊張しながら部屋に入り、渡された結果がこちら。
21トリソミー 「陰性」
18トリソミー 「陰性」
13トリソミー 「陰性」
おおーー!!それまで2週間心配しまくりだったので、一気に気が抜ける私。先生からの説明もあっさりしたもので、結果説明は1〜2分ぐらいでした。
もし陽性だったら
我が家は幸いなことに陰性だったわけですが、もし陽性だったら伝える医師も妊婦もすごく辛い気持ちだろうなあと。14〜15週になれば堕胎をするという決断は身を切られるような思いでしょう。いまの医療だと疾患がわかるだけで、堕胎するか否かを決めるだけで、治療する術がないんですよね。映画『ガタカ』のようにあらかじめ障害がわかっても遺伝子操作ができる未来になればいいのに、などと思いながら病院を後にしたのでした。
参考
妊娠・出産ではこちらの本にお世話になりました。新型出生前診断(NIPT)についても、少しだけ触れられています。
産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK-プレ妊娠編から産後編まで! (専門医ママの本)
- 作者: 宋美玄,市川彰子
- 出版社/メーカー: メタモル出版
- 発売日: 2014/03/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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宋美玄先生はご自身も高齢出産経験があり、NIPTについても様々な情報を発信されています。
上記のメタモル出版のパーフェクトBOOKシリーズは表紙が地味なのですが、書いてある内容はとても手堅く信頼できます。宋美玄先生以外にも森戸やすみ先生なども授乳・育児本を出されています。
なお、上記のシリーズもAmazon Unlimitedに入ると月額980円で読み放題になるので、私は入会して妊娠出産本を読んでました。スマホで空き時間に読めるので、通院の待ち時間の暇つぶしにも便利ですよ。