ヨチヨチ母日記

アラフォーで妊娠・出産した母の日記

[出産体験記③]陣痛やばい

[日赤医療センター出産体験記②]前期破水で入院 - 38歳高齢出産ブログ

夕食をペロリと食べて一息つくと、お腹の下あたりがモワーンと痛くなってきた。あれ、なんかお腹痛いかも。軽い生理痛にも似ているけど、ウンチの前にお腹がゴロゴロするときの痛みのような。便秘がちだしなーなんて思っていたら、モワーンがだんだんズーンズーンに変わり、何度も波がやってくるようになった。

あれ…これってもしや陣痛ってやつじゃないの?私が想像していた陣痛は子宮がギューっと収縮するような痛みだったのだけど、いま体験している痛みはそれとは違って、ウンチが出そうで出ないときの腹痛に近かった。膣や子宮につながる道ではなく、お尻の穴の奥、尾てい骨の上あたりに鈍い痛みがやってくる。

ナースコールをして陣痛が来たと伝えると、NSTの準備が始まった。

助産師「いま何分おきですか?」

わたし「えーと、正確にはかってないんですけど…10分ぐらいですかねえ」

助産師「あーまだ我慢できますか?5分おきになったらまた呼んでください」

わたし「えっ、あああ、はい」

そうか、すぐ分娩室じゃないのか。いま結構痛くなってきたけど、我慢できるレベルならまだまだ本番はこれからということだ。だんだんと勢いを増す陣痛が来る度に、あらかじめ入れておいた陣痛計測アプリを起動させてタップする。こんなアプリ本当に必要かなと思っていたたけれど、陣痛がやってきて自分で1分、2分と計測したりする余裕なんてなかったし、入れておいて良かった。こんなマネタイズしづらいアプリ出してくれる会社の人ありがとう。しかし痛みはじめは分かるのだが、終わりってのがわかりづらくて、間隔がこれで正しいのかどうかさっぱりわからない。一応開始と思われるタイミングは押し続けることにした。その間にもなんども若い助産師(肌がもちもちしているので心の中で「モチ子」と呼ぶ)が様子を見に来てくれるのだが、上からGOサインがなかなか出ないらしく、「もう少し頑張ってくださいねー」と申し訳ない顔で去っていく。いやいや頑張ってるから早く!早くして!原田知世もいまなら「私を分娩室に連れてって」と叫ぶに違いない。

ついに陣痛はソロリサイタルからカルテットレベルになり、5分おきの間隔でやってくるようになった。破水から4時間半、陣痛開始から2時間、ついに分娩室に移動する。

分娩室に運ばれるとベテランと思われる助産師の内診チェック。私の頑固な子宮口はまだまだ開いていなかった。息子よ、そろそろ観念してくれ。母はもう限界である。痛みはカルテットからオーケストラ級となっていた。

例えて言うなら岩のようなウンコがどしーんどしーんと下腹部にぶつかってきて、そのまわりを万力でもってメリメリメリ…メリメリメリ…とちょっとずつ広げるような痛み。

こんな拷問スレスレの痛みにホモ・サピエンスは何百万年もよく耐えてきたよな。というか女がやることだから、長年痛みを緩和する手段が講じられなかったのだと思う。欧米だと無痛分娩が多いと聞くけど、いまだに日本では「お腹を痛めた子のほうが」という戦前の精神論みたいな理由で自然分娩がヨシとされている。もし男が出産することになったら、速攻で無痛分娩を推奨し、死ぬ気で痛み止めを開発するに違いない。

夫は面会時間を過ぎていたため一旦帰宅していたが、分娩室移動後に駆けつけてくれていた。「いったー!!いたたたた!!あだだだだ!!」と脂汗をかく私を呆然と見つめている。とにかく痛みに弱い私は夫の顔を見るなり「無理、もう無理。もう(出産)やめたい」と泣きつき、後日、夫に「妊婦界最高のヘタレ」呼ばわりされることになった。

モチ子にも「私もう無理そうなんですけど、何か麻酔とか打てないでしょうか」と訴えてみたが、医療介入最小限がモットーの日赤でそんな便利ツールが出てくるわけもない。ああ、なんでわたし自然分娩にしちゃったのかなあ、次産むなら絶対、ぜったいに無痛分娩にする。朦朧とする意識の中でそんなことばかり考えていた。

ベテラン助産師さんが骨盤のあたりをさすってくれるのだが、さすがシャーマンのスキルは違う。荒れ狂う痛みの中でも、そこだけ安らぐような優しい空気が流れる。ところが夫が同じように腰をさすってみると、なんか…なんかね…違うんだよなぁ~!と言いたくなる不愉快さ。タイミングとか強さとか、ぜんぜん気持ちよくない。「もうそれいい…」と言うのが精一杯であったが、後から聞くと夫は「俺の存在価値は…」とすっかり落ち込んでいたらしい。

(続く)

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