ヨチヨチ母日記

アラフォーで妊娠・出産した母の日記

[出産体験記②]前期破水で入院

体験記①はこちら

[日赤医療センター出産体験記①]おしるしの色はRGBで指定して - 38歳高齢出産ブログ

救急・時間外受付に着いて「電話したたぬ木ですけど」と伝えると、産科の助産師が車椅子を押してやってきた。日赤の場合は救急受付から産科病棟まで直通のエレベーターがあり、車椅子で妊婦を運べるようになっているのだ(このあたりは破水騒ぎで経験済み)。エレベーターで産科病棟にあがると、トイレで現在あてている生理ナプキンを置くよう指示される。ナプキンについた成分を試験紙にあてて、破水かどうかを調べるのだ。

ドラマの出産シーンでは「うっ、あなた…産まれる!」と産気づき、病院に着くや否やストレッチャーで運ばれるというような描写が多いような気がするが、現実はかなり地味なもんである。試験紙で破水判定しているドラマなんて、見たことないぞ。

トイレから出てきた助産師は目をキラッとさせ、「破水でした。いまから検査しますねー」と車椅子を足早に押し始めた。さながら獲物を発見したハンターの目である。この日は患者が少なく、助産師さんたちも若干ヒマを持て余していたのかもしれない。

内診台に乗って子宮口をチェックされる。結果、まだまだ子宮口は空いておらず、分娩までは時間がかかりそうだということだった。

この時点で羊水は大放出、パンツを脱げば床にしたたるような状態だったわたしは、おなかの中の風船にたまった水がみるみる減って息子があっぷあっぷしている図が頭に浮かんだ。

わたし「あのう、羊水こんなに出ても大丈夫なんでしょうか?おなかの中で息ができないとか…は…(もしかしてアホなことを聞いているのかもしれないので、おそるおそる)」

助産師「んーお腹の中にはまだ羊水たーくさんありますから。感染症予防が必要なので注意は必要ですけど」

そういうもんなのかあ。とにかく38年も生きているのに、出産については知識がなさすぎて、そういうことになってんのかあ、はあ、人間うまいことできてんなあ、と呆けてしまうことばかりだ。

お次はNSTにて胎児の状態を確認することになった。NSTノンストレステスト)というのはお腹にセンサーをあてて、胎児の心拍とお腹の張り具合をはかる機械である。

センサーを2つつけるとニョロニョロと波状の心拍グラフが出てくるが、息子の元気具合をはかるためには起きているときを見なければいけない。「うーん、まだ寝てるみたいですね」ということで、しばらく息子の目覚めを待ってNST室で待機することになった。

助産師も席を外して一人横たわっていると、この10ヶ月の集大成、出産間際だというのに「こんなに早く来るなら先週もっと美味しいもの食べに行けば良かったなあ」とか「夫はネットスーパーの宅配時間に間に合ったかなあ」とか此の期に及んでどうでもいいことばかり頭によぎる。いざ出産となれば「早く赤ちゃんに会いたい」といったインスタ映えしそうな思いが湧き出てくるものなのかと思っていたが、人間急に変わるものではない。

そんなこんなしているうちに、ネットスーパーの受け取りを済ませた夫が駆けつけてくれた。寝起きの息子(胎児)は元気だったが、お腹の張りのほうはまったく来ないようで、前日のNSTとほぼ変わらない値をうろうろしている。どうやら陣痛が来るとこの値がワーっと上がるものらしい。陣痛はもう少しかかりそうですね、ということで、入院して様子を見ることになった。

わたし「あのう、陣痛は平均で何時間ぐらいで来るものなんでしょうか?」

助産師「そうですねー、一概には言えないんですけど、24時間以内に陣痛が来る方が50%ほど、来ない方は誘発剤を入れます」

なんと。いつ来るかとドキドキしていたが、ひとまず今日は来ない可能性もあるってことか。おしるしが出てからは何を食べてもよいと聞いていたので、病院食にプラスしておやつも食べちゃおうとほくそ笑む。「いやーまだまだ陣痛来そうにないね!君も帰ったらいいよ!」と夫を帰し、夕食を完食したちょうどそのとき、ついに魔の手(つまり陣痛)が忍び寄ってきた。

(続く)